自転車にも「青切符」導入へ

自転車にも「青切符」導入へ――歩道走行も反則金6000円？懸念される運用の実態と課題

2026年4月から、自転車の交通違反に対して「青切符」を発行し、反則金を科す制度が始まります。対象となる違反行為は実に113項目。信号無視、逆走、傘差し運転、スマホながら運転などが含まれ、金額は3000円から1万2000円に設定されています。

■ 多くの自転車利用者が対象に？

中でも注目を集めているのが「歩道走行」の反則金6000円。法律上、自転車は車道走行が原則ですが、実際には多くのママチャリや学生が日常的に歩道を走っています。これらすべてが反則金の対象となる可能性があるため、「取り締まりが現実的でない」との声もあがっています。

また、学生の並走やイヤホン使用といった行為も3000円〜5000円の対象となり、全国の子どもや高校生が大量に「違反者」とされる懸念もあります。

■ 交通環境の問題が未解決

そもそも、自転車が車道に出づらい現実があります。車道には違法駐車や狭い路肩が多く、自転車専用レーンがふさがれているケースも多いのが現状です。こうした環境整備なしにルールだけ厳格化しても、安全で快適な自転車利用にはつながりません。

また、「歩道走行」の取り締まりが恣意的に行われれば、「運が悪かった人が損をする」だけの制度になる恐れもあり、本来の目的である事故抑止から外れる恐れがあります。

■ 事故防止には“メリハリある取り締まり”が必要

自転車評論家の疋田智氏は「ルール違反全てを一律に取り締まるのではなく、事故に直結する違反に絞って徹底的に取り締まるべき」と指摘しています。彼が優先すべきと挙げたのは次の5項目です：

1. スマホながら運転

2. 逆走（右側通行）

3. 信号無視

4. 遮断機が下りた踏切への侵入

5. 一時停止の無視
   （番外：飲酒運転は論外で赤切符＝刑事処分対象）

これらは、事故の直接原因となりうる「絶対ダメな行為」として、重点的に取り締まるべきだという主張です。

■ まとめ

自転車の青切符導入は、事故削減という目的には一定の理解があるものの、現実の道路環境や交通事情を無視した全面的な取り締まりには無理があるとの懸念も広がっています。

本当に交通事故を減らしたいのであれば、

• 危険性の高い違反行為に重点を置いた運用

• 自転車専用レーンの整備や違法駐車の取り締まり強化

• 子どもや高齢者への交通教育の拡充

など、制度と環境整備の両輪での対策が求められます。

ルールは「守らせる」だけでなく、「守りやすく」することも大切なのです。

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